仕損・減損とは?具体例と仕訳を図解で徹底解説!【簿記2級 工業簿記】

【2級 工業簿記】仕損・減損とは?
はりねずみ

仕損と減損について、基礎から解説していきます!

目次

仕損とは?

製品の製造中に失敗が生じた結果できてしまう不合格品のことを「仕損品(しそんひん)」といいます。

工場では、製造した製品が規格に合っているかのチェックを行っています。
これに合格したものが出荷されるのですが、中には失敗が生じて不合格品が出てきてしまう場合もあります。

この不合格品が「仕損品」です。
仕損品が生じることを「仕損品の発生」といいます。

製品を製造する中で、多少の仕損が生じるのは致し方ないことです。
このように、通常の範囲内で生じる程度の仕損を「正常仕損」といいます。

通常の範囲を超えて生じる程度の仕損は、「異常仕損」といいます。
異常仕損は非原価項目として処理されますが、これが取り扱われるのは1級の範囲です。
2級では、正常仕損の処理のみ出題されます。

正常仕損は、製品の製造において避けられないものですね。
そのため、正常仕損費(正常仕損にかかった原価)は、製造原価に含めて処理します。

減損とは?

原料が目減りしてしまうことを「減損(げんそん)」といいます。

原料の一部である粉末が飛び散ってしまったり、液体が蒸発してしまったりするように、原料が目減りしてしまうのが「減損」です。

製品を製造する中で、多少の減損が生じるのは致し方ないことです。
このように、通常の範囲内で生じる程度の減損を「正常減損」といいます。

通常の範囲を超えて生じる程度の減損は、「異常減損」といいます。
異常減損は非原価項目として処理されますが、これが取り扱われるのは1級の範囲です。
2級では、正常減損の処理のみ出題されます。

正常減損は、製品の製造において避けられないものですね。
そのため、正常減損費(正常減損にかかった原価)は、製造原価に含めて処理します。

仕損・減損が月末仕掛品の加工進捗度よりもあとに発生した場合

正常仕損が月末仕掛品の加工進捗度よりもあとに発生した場合、正常仕損費として完成原価に含めて処理します

生産データ

月初仕掛品20個
(加工進捗度:20%)
当月投入120個
合計140個
正常仕損10個
月末仕掛品30個
(加工進捗度:80%)
完成品100個

製造原価データ

月初仕掛品原価

直接材料費2,840円
加工費874円

当月製造費用

直接材料費15,640円
加工費24,318円
  • 直接材料費は、工程の始点で投入済。
  • 仕損は、工程の終点で発生
  • 計算方法は、平均法による。
【仕損・減損とは?】仕損の発生点

この場合だと、仕損は、工程の終点(加工進捗度:100%)で発生していますね。
正常仕損が月末仕掛品の加工進捗度:80%よりもあとで発生した場合、月末仕掛品は、仕損の発生点を通過していません。
そのため、月末仕掛品からは仕損が発生していないことがわかります。

この場合は、仕損品を完成品とみなして、正常仕損費を完成品原価に含めて処理します

【仕損・減損とは?】仕損品はを完成品とみなして計算する

直接材料費は、平均単価が

【平均単価】
(2,840円 + 15,640円) / (20個 + 120個)
= 18,480円 / 140個
@132円

なので、月末仕掛品原価が

【月末仕掛品原価】
@132円 × 30個
3,960円

であり、差額の完成品原価が

【完成品原価】
2,840円 + 15,640円 – 3,960円
14,520円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(直接材料費)

また、加工費は

【月初仕掛品】
20個 × 20%
4個

【月末仕掛品】
30個 × 80%
24個

【当月投入】

完成品100個 + 仕損品10個 + 月末仕掛品24個 – 月初仕掛品4個
130個

ですね。

平均単価が

【平均単価】
(874円 + 24,318円) / (4個 + 130個)
= 25,192円 / 134個
@188円

なので、月末仕掛品が

【月末仕掛品】
@188円 × 24個
4,512円

であり、差額の完成品原価が

【完成品原価】
874円 + 24,318円 – 4,512円
20,680円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(加工費)

直接材料費と加工費を合算して、

  • 月末仕掛品原価
  • 完成品原価
  • 完成品単位原価

を計算します。

【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(直接材料費)
【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(加工費)

【月末仕掛品原価】
3,960円 + 4,512円
8,472円

【完成品原価】
14,520円 + 20,680円
35,200円

【完成品単位原価】
35,200円 / 100個
@352円

今回のように、正常仕損費を完成品原価に含めて処理することを「完成品の負担」といいます。

仕損・減損が月末仕掛品の加工進捗度よりも前に発生した場合

正常仕損が月末仕掛品の加工進捗度よりも前に発生した場合、正常仕損費を完成品と月末仕掛品の両方に負担させます

生産データ

月初仕掛品20個
(加工進捗度:20%)
当月投入120個
合計140個
正常仕損10個
月末仕掛品30個
(加工進捗度:80%)
完成品100個

製造原価データ

月初仕掛品原価

直接材料費2,840円
加工費874円

当月製造費用

直接材料費15,640円
加工費24,318円
  • 直接材料費は、工程の始点で投入済。
  • 仕損は、工程の始点で発生
  • 計算方法は、平均法による。
【仕損・減損とは?】仕損の発生点

この場合だと、仕損は、工程の始点(加工進捗度:0%)で発生していますね。
正常仕損が月末仕掛品の加工進捗度:80%よりも前で発生した場合、月末仕掛品は、仕損の発生点を通過しています。
そのため、この仕損は、完成品と月末仕掛品の両方を作るために生じたものであることがわかります。

この場合は、仕損品はないものとして、正常仕損費を完成品と月末仕掛品の両方に負担させます

【仕損・減損とは?】仕損品はないものとして計算する

直接材料費は、平均単価が

なので、月末仕掛品原価が

【平均単価】
(2,840円 + 15,640円) / (20個 + 120個 – 仕損品10個)
= 18,480円 / 130個
@142.2円

なので、月末仕掛品原価が

【月末仕掛品原価】
@142.2円 × 30個
4,266円

であり、差額の完成品原価が

【完成品原価】
2,840円 + 15,640円 – 4,266円
14,214円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(直接材料費)


加工費は、

【月初仕掛品】
20個 × 20%
4個

【月末仕掛品】
30個 × 80%
24個

【当月投入】
100個 + 24個 – 4個
120個

ですね。

平均単価が

【平均単価】
(874円 + 24,318円) / (4個 + 120個 – 仕損品0個)
= 25,192円 / 124個
@203.2円

なので、月末仕掛品が

【月末仕掛品】
@203.2円 × 24個
4876.8円

であり、差額の完成品原価が

【完成品原価】
874円 + 24,318円 – 4876.8円
20315.2円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(加工費)

直接材料費と加工費を合算して、

  • 月末仕掛品原価
  • 完成品原価
  • 完成品単位原価

を計算します。

【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(直接材料費)
【仕損・減損とは?】発生原価等の計算(加工費)

【月末仕掛品原価】
4,266円 + 4876.8円
9142.8円

【完成品原価】
14,214円 + 20315.2円
34529.2円

【完成品単位原価】
34529.2円 / 100個
@345.3円

今回のように、正常仕損費を完成品と月末仕掛品に分けて負担させることを「両者負担」といいます。

最後に

はりねずみ

いかがでしたか…?

小難しい用語がいくつか出てきましたが、漢字の意味そのままなので、そこまで身構える必要はありません。

1つを攻略すると、ほかの分野も理解しやすくなります。
丸暗記してしまうレベルまで読み込んで、得意分野にしていきましょう!

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