手形とは?具体例な仕訳処理を徹底解説!【簿記3級 入門講座】

【簿記3級】約束手形とは?
はりねずみ

手形が絡む仕訳について、勉強しましょう。

これ以外にも、日商簿記3級に独学合格を目指す方のための解説記事を多数掲載しています。
ぜひ、あわせてご確認ください。

あわせて読みたい
【日商簿記3級】独学合格するための入門講座 簿記の基礎 1資産とは?具体的な勘定科目を徹底解説!2負債とは?具体的な勘定科目を徹底解説!3資本(純資産)とは?具体的な勘定科目を徹底解説!4費用とは?具体的な...
目次

手形とは?

簿記3級で取り扱うのは、約束手形

手形は、将来特定の日に決められた金額を支払うことを約束する証書です。

簿記3級で主に学習するのは、「約束手形」です。
約束手形は、商品などを購入した側(振出人)が販売した側(受取人)に対し、

「○月○日に△△円支払います」

と約束するものです。
これは2社間の取引で使われます。

ちなみに、手形にはほかに「為替手形」というものもありますが、これは3社間で使われるもので、簿記3級では扱いません。

手形を受け取った側は、その手形を期日が来た時に銀行に持ち込んで現金化を依頼します。
この手続きを「取立依頼」といいます。

小切手との違いと実社会での使われ方

手形は小切手と見た目や使い方が似ている部分もありますが、決定的な違いがあります。
それは、現金を受け取れるタイミングです。

小切手は銀行に持ち込めばすぐに現金を受け取れますが、手形の場合は手形に書かれた期日まで待たないと現金化できません。
この期日は、通常の場合、手形を振り出した日から数ヶ月後(例えば4ヶ月後)であることが多いです。
つまり、代金回収までに時間がかかるのが手形の特徴です。

また、手形の発行や受け取りには、収入印紙を貼る必要があるなどの手間もかかります。

実社会での手形の使われ方は、簿記の学習でまず出てくるケースとは少し異なる場合があります。
簿記の教科書では、商品売買と同時に手形を振り出す(受け取る)ケースを学ぶことが多いですが、実務ではまず通常の掛取引(売掛金・買掛金)を行い、その決済時に現金ではなく手形を使う(これを「手形に切り替える」と言う)ことも多いようです。
この場合、既に発生している買掛金が「支払手形」に、売掛金が「受取手形」に勘定科目が変わるという処理になります。

※ IDを指定してください。

商品を仕入れたときの仕訳(手形を振り出した側)

A社がB社から商品¥100,000を仕入れ、代金を手形で支払った。

A社は商品を受け取ったので「仕入」という費用が発生します。
代金は手形という形で支払う約束をしたため、将来支払う義務(負債)が発生します。
このときの勘定科目は、「支払手形」を使います。
支払手形は、買掛金と同じ負債ですが、手形という具体的な証書がある点が異なります。

借方貸方
仕入100,000支払手形100,000

「仕入」は、費用の勘定科目です。
今回は、これが増えているため、ホームポジションである借方(左側)に記入します。

費用が増えたとき
損益計算書(P/L)

「支払手形」は、負債の勘定科目です。
今回は、これが増えているため、ホームポジションである貸方(右側)に記入します。

負債が増えたとき
貸借対照表(B/S)

手形を振り出した側は、受け取った側が銀行に取立依頼を出すことに直接関与しないため、この時点では特別な仕訳はありません。

商品を販売したときの仕訳(手形を受け取った側)

B社がA社から商品¥100,000を販売し、代金をA社振出の手形で受け取った。

B社は商品を販売したので「売上」という収益が発生します。
代金は手形として受け取ったため、将来現金を受け取る権利(資産)が発生します。
このときの勘定科目は「受取手形」を使います。
受取手形は、売掛金と同じ資産ですが、手形という具体的な証書がある点が異なります。
手形を受け取ったB社のような側を「受取人」と呼びます。

借方貸方
受取手形100,000売上100,000

「受取手形」は、資産の勘定科目です。
今回は、これが増えているため、ホームポジションである借方(左側)に記入します。

資産が増えたとき
貸借対照表(B/S)

「売上」は、収益の勘定科目です。
今回は、これが増えているため、ホームポジションである貸方(右側)に記入します。

収益が増えたとき
損益計算書(P/L)

B社は受け取った手形を銀行に持ち込み、期日になったらお金を受け取れるように「取立依頼」をします。
取立依頼自体は、仕訳の対象ではありません。

手形が決済されたときの仕訳

手形に書かれた期日になると、銀行を通じて手形に記載された金額の支払いが行われます。
これを「手形が決済された」といいます

商品を仕入れた側(手形を振り出した側)の仕訳

支払手形という負債が解消されるので、支払手形を借方に記入して減らします
代金は、振り出した側の当座預金口座から引き落とされるのが一般的です。
当座預金という資産が減るので貸方に記入します。

借方貸方
仕入100,000支払手形100,000

▼ ▼ ▼

借方貸方
支払手形100,000当座預金100,000

「支払手形」は、負債の勘定科目です。
今回は、これが減っているため、ホームポジションの反対側である借方(左側)に記入します。

負債が減ったとき
貸借対照表(B/S)

「当座預金」は、資産の勘定科目です。
今回は、これが減っているため、ホームポジションと反対側である貸方(右側)に記入します。

資産が減ったとき
貸借対照表(B/S)

商品を販売した側(手形を受け取った側)の仕訳

受取手形という資産(現金を受け取る権利)がなくなるので、受取手形を貸方に記入して減らします
代金は、受け取った側の当座預金口座に入金されるのが一般的です。
当座預金という資産が増えるので借方に記入します

借方貸方
受取手形100,000売上100,000

▼ ▼ ▼

借方貸方
当座預金100,000受取手形100,000

「当座預金」は、資産の勘定科目です。
今回は、これが増えているため、ホームポジションである借方(左側)に記入します。

資産が増えたとき
貸借対照表(B/S)

「受取手形」は、資産の勘定科目です。
今回は、これが減っているため、ホームポジションと反対側である貸方(右側)に記入します。

資産が減ったとき
貸借対照表(B/S)

基礎を学んだあとは、練習問題で知識を定着させていきましょう。
ぜひ、すべて解けるようになるまで、チャレンジしてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次