材料を追加投入したときの原価はどう計算する?具体例と仕訳を図解で徹底解説!【簿記2級 工業簿記】

【2級 工業簿記】材料を追加投入したときはどうなる?
はりねずみ

材料を追加投入したときの原価計算について、基礎から解説していきます!

目次

材料の追加投入とは?

これまでのように、材料を工程の始点ですべて投入するのではなく、工程の途中で材料を追加することもあります。
これを「材料の追加投入」といい、いつ投入したかによって処理が異なります。

材料の追加投入のタイミングは、

  • 工程の終点で投入する場合
  • 工程の途中で投入する場合
  • 工程を通じて平均的に投入する場合

の3パターンがあります。
1つずつ確認していきましょう。

工程の終点で材料を追加投入する場合

工程の終点で追加投入する場合、追加した直接材料費は全額が完成品の原価になります

生産データ

月初仕掛品20個
(加工進捗度:20%)
当月投入110個
合計130個
月末仕掛品30個
(加工進捗度:80%)
完成品100個

製造原価データ

当月仕掛品原価

直接材料費0円

当月製造費用

直接材料費5,000円
  • 追加の材料費は、工程の終点で投入。
  • 計算方法は、平均法による。
【材料の追加投入】工程の終点で追加投入する場合

工程の終点(加工進捗度:100%)で材料を追加投入する場合、月初仕掛品(加工進捗度:20%)の時点も月末仕掛品(加工進捗度:80%)の時点も、材料の追加投入の時点を通過していません。

追加投入した材料費は完成品を作るためだけに使われたことになるので、追加の直接材料費は全額が完成品の原価となります。

追加の直接材料費を計算してみましょう。

  • 月初仕掛品
  • 月末仕掛品

には、追加の材料費は使われていません。

そのため、

【月初仕掛品】
0個・0円

【月末仕掛品】
0個・0円

ですね。

追加の直接材料費は、すべて当月投入であり、かつ完成品だけでに使われています。

【完成品に含まれる追加の直接材料費】
5,000円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【材料の追加投入】工程の終点で追加投入する場合の追加の直接材料費の計算

工程の途中で材料を追加投入する場合

工程の途中で追加投入する場合、追加投入の時点が月初仕掛品・月末仕掛品に使われているかを判断します

生産データ

月初仕掛品20個
(加工進捗度:20%)
当月投入110個
合計130個
月末仕掛品30個
(加工進捗度:80%)
完成品100個

製造原価データ

当月仕掛品原価

直接材料費0円

当月製造費用

直接材料費6,500円
  • 追加の材料費は、加工進捗度:50%の時点で投入。
  • 計算方法は、平均法による。
【材料の追加投入】工程の途中で追加投入する場合

工程の途中(加工進捗度:50%)で材料を追加投入する場合、月初仕掛品(加工進捗度:20%)の時点は通過していませんが、月末仕掛品(加工進捗度:80%)および完成品(加工進捗度:100%)は通過しています。

追加投入した材料費は月初仕掛品と完成品を作るために使われたことになるので、追加の直接材料費はこの月初仕掛品・完成品に配分します。

追加の直接材料費を計算してみましょう。

【月初仕掛品に含まれる追加の直接材料費】
0個・0円

【月末仕掛品に含まれる追加の直接材料費】
6,500円 × 30個 / (100個 + 30個)
= 6,500円 × 30個 / 130個
= 50円× 30個
1,500円

であり、

【当月投入】
6,500円

のため、

【完成品に含まれる追加の直接材料費】
0円 + 6,500円 – 1,500円
5,000円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【材料の追加投入】工程の途中で追加投入する場合の追加の直接材料費の計算

工程を通じて平均的に材料を追加投入する場合

工程を通じて平均的に材料を追加投入する場合は、加工進捗度が進むほど、直接材料費が多く発生しています

生産データ

月初仕掛品20個
(加工進捗度:20%)
当月投入110個
合計130個
月末仕掛品30個
(加工進捗度:80%)
完成品100個

製造原価データ

当月仕掛品原価

直接材料費320円

当月製造費用

直接材料費7,120円
  • 追加の材料費は、工程を通じて平均的に投入。
  • 計算方法は、平均法による。
【材料の追加投入】工程の途中で平均的に材料を追加投入する場合

【月初仕掛品】
20個 × 20%
4個

【月末仕掛品】
30個 × 80%
24個

【完成品】
100個

【当月投入】
100個 + 24個 – 4個
120個

なので、追加の材料費の平均単価は

【平均単価】
(320円 + 7,120円) / (4個 + 120個)
= 7,440円 / 124個
@60円

ですね。

月末仕掛品に含まれる追加の直接材料費は、

【月末仕掛品に含まれる追加の直接材料費】
@60円 × 24個
1,440円

であり、差額の完成品に含まれる追加の直接材料費は、

【完成品に含まれる追加の直接材料費】
320円 + 7,120円 – 1,440円
6,000円

となります。

これをまとめると、以下の通りです。

【材料の追加投入】工程の途中で平均的に材料を追加投入する場合の追加の直接材料費の計算

最後に

はりねずみ

いかがでしたか…?

小難しい用語がいくつか出てきましたが、漢字の意味そのままなので、そこまで身構える必要はありません。

1つを攻略すると、ほかの分野も理解しやすくなります。
丸暗記してしまうレベルまで読み込んで、得意分野にしていきましょう!

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